投資型クラウドファンディング愛好家の案件考察ブログ

不動産クラウドファンディングやソーシャルレンディング愛好家です。比較的高利回り案件を中心に考察をしています。※当ブログは広告紹介、リンクが一部記事に含まれております。

クラウドバンクの新規案件について更に考えた。

同じ案件についての記事が続き、興味のない方には申し訳ないのですが、

今まであまり考えたことのなかったタイプの案件で、

自分としても新鮮味を持って案件の内容を見ていられており、もう1回記事を書いてみたいと思います。

 

まず、一応、先日の記事及び、その案件のスキームの一部分であるLBOについて書いた記事のリンクを貼っておきます。

 

 

改めてさらっとおさらいすると、募集期間は5/31スタートで6/17まで。

運用開始は6/18からで期間は約14ヶ月。利回りは5.2%とのことです。

正確な総額については分からないものの、会員限定情報から推察するにかなりの大型案件であり、既に5億近くの資金が集まっています。

 

今回の中小企業支援型ローンファンドの資金使途はM&A資金及び運転資金等ということで、今までとは少し毛色が違うので、興味を持って元々見ていましたが、

見れば見るほど、ユニークな案件だなと思うので、またしても記事にしてみます。

 

普通、企業(仮にA)が別の企業(仮にB)を買収する場合は、A社が自己資金や借入、あるいは株式発行などの追加資本をもってB社を買収する形です。

ですので、例えばB社が1億の価値があるところ、A社が1億2000万でB社を買収した場合は、差額の2000万が「のれん」と呼ばれる、「対象企業が持つ資産以上の無形の資産(ネームバリューであるとか、人気商品であるとか、将来性のある業種であるとか、珍しい設備や技術であるとか)」という扱いで、A社の持っている資産(借方)に足されます。

逆にお金はその分余分にかかっているので、負債(貸方)の方に借入金やら諸々としてBS上仕分けされます。

 

で、逆にB社の資産価値より買収額が低かった場合は、買収することによって、A社はプラスの取引をしたことになるので、「のれん」上では、「負ののれん」という逆の形になります。(資産に比べて、何かマイナスなバリューがある・・・例えば訴訟があるとか、固定資産がたくさんあるが急速に業績が悪化しているとか・・・)

 

どちらの方がいいのかは一概に言えません。

正ののれんを積み上げすぎて、こういったコロナ禍でいきなり業績が下がって、のれんを減損して下ろさないといけない場合もあるし、

負ののれんが出るような企業を安く買い叩いて、シナジーで持ち直させて再生させることもあるし、逆にやはり業績悪化している企業を買いすぎて厳しくなったりした企業もあります。(某〇イザップとか)

 

というのが大まかな普通の買収ですが、今回の案件で使われる、レバレッジド・バイアウトというのは、ちょっと違うスキーム。

 

詳しくは別記事を参照いただきたいのですが、

【空っぽの会社=SPCを作って、SPCが対象企業を買収し、そしてSPCと対象企業が合併することにより、対象企業が買収にかかった負債を背負う】

というのがキモです。

 

普通は買収しようとした企業が、その企業のバランスシートを使って(責任を持って?)買収するわけですが、

このスキームを使うと、買収しようとした本当の企業は、自分の自己資金を少なく(あるいはなく)した上で、買収が出来ます。

 

LBO(レバレッジドバイアウト)をどこよりも丁寧に解説

 

しかも、この記事を参照いただければ、何となく分かると思うのですが、

【対象企業が背負った負債は、買収しようとした企業から見たノンリコースローンとなる!】という形にすら出来ます。

 

つまり、このLBOは自己資金が少ない形での借入、買収を元々志向して選ばれたものなので、対象企業の負債を無限責任として親会社(買収しようとした企業)が背負ってしまうと志向とずれてしまう。

 

そのため、ノンリコースローンとなり、万が一対象企業が倒産しても、

自己資金(エクイティ)部分の毀損だけで済むというわけです。

 

上手く、買収した企業を更に転売出来れば、大きなキャピタルが入ってくる。

逆に倒産等でどうにかなってしまったとしても、ノンリコースなので多少の毀損で済む。すごい仕組みですよね。

とはいえ、その分、金融機関から高い利率で借りることになりますし、負債を背負わせたまま、次の企業に転売させることを狙うわけですから、高度な経営力に基づいて、買収した企業の企業価値を更に高めないといけない。

 

ま、だから、こういったLBOを用いて多数の企業を少額の自己資金で買収するファンド企業は「物言う株主」的な姿勢になるわけですよね。

物言って、価値を高めないと少額とはいえ、自己資金が毀損するし、転売の利益も取れない。そういったことが続けば、自社の存続にも関わるということで。

 

ただ、そんなLBOというスキームですが、長々書いた割に、

【今回はそういった転売を前提とする使用ではない】と私には読めるんですよね。

 

というのは、まず貸付先(SPC)の親企業が【実業を多数持つ一般企業】です。

そして【現在の所有企業がファンド会社(?のような売却を前提としていそうな企業)】ということもありますし、

 

【転売の場合は自己資金をいくばくか入れることを条件に、ノンリコースローンを金融機関に組ませる】ものの、

今案件は、【自己資金は恐らく皆無だが、クラウドバンクはノンリコースローンでの貸付としていない】

というのが大きな理由でしょうか。

 

会員限定情報なので詳しくは書けませんが、

保全はかなり丁寧に行っていて、いくつも入っています。

それでいて利回りはかなり高い。

 

つまり、【普通は、ノンリコースローンにする代わりに、利率を上げるし、セイムボート出資的に自己資金も金融機関が要求する】というのがLBOの王道ですが、

今回は【自己資金が要らない代わりにリコースローンかつ、利回りも高め】という風に組んでいるんじゃないかなと私には読めます。

 

しかも貸付金額は企業価値を大幅に下回る金額。(負ののれんが出る)

 

ま、それだけ買収先企業の事業規模からすると、貸付先の親会社は事業規模がそこまで大きくなく、アンバランスでもあるということかもしれません。

 

ただ、業績的にも業界が苦戦していそうな業界とはいえ、崩れていない買収先を企業価値以下で買収出来るというのは、貸付先の親会社としてもチャンス(シナジー効果も含めて)ということで、高い利率で借りてでもトライしたいという内容だったということなんでしょうね。

そしてクラウドバンク側も保全さえしっかりやれば、充分利鞘を稼げる案件だと考えたということなんだと思います。

 

逆に現在経営権を持っている会社はコロナの影響等もあるのかもしれませんが、価値を高めて「正ののれん」が発生するような形で他企業へ売却することが出来なかったので、損切りなのかもしれません。

もっとも創業者の方から現在の会社は株を買ったような形らしいので、(そして今でも創業者の方が一部分は持っている??)この条件でも利益はあるのかもしれませんが。

 

というわけで、今回はLBOというファンド会社がよく使う少し複雑なスキームを活用しつつ、そのスキームのリスクが高くなる部分を採用せず、リスクを下げる形で保全をしている案件ということになるでしょうか。

(ただし、貸付先の親会社が【中小企業】であり、その企業の業績の推移及び、買収先企業の業績の推移へのリスク、シナジー効果がちゃんと作れるのか、という意味でのリスクはあります)

 

本当なら、こういった珍しい案件の時は、スキームの一部分でもかいつまんで概要に載せてもいいような気はするんですよね。

私自身、たまたま自分の興味がこうやって向かったので自分なりに調べたりして、楽しく考察していますけど、もっと忙しい時期だったら、よく分からないままスルーしたり、よく分からないから少額で・・・

ってなっていたでしょうしね。

(もっとも、お金がなくてまだ投資出来ていない人は少額云々言えないですが笑)

 

一応、自分なりには色々調べてみて、こんな感じの案件なのかなという結論が出たので、資金が入ってくればクラウドバンクさんに割ける分は投資してみたいと思っています。(某〇らしべさんが落選だったので多少余裕が出る可能性も・・・?)

 

大型だけど、よく分からない案件だし、どうしようかなと思っている方には、多少の参考になったらいいなと思います。

リスク軽減はかなり頑張ってやっている良い案件だと私は思いますが、

シンプルに考えればリスクもあるので、考え方次第かなと思います。

もし、万が一のことがあった時にクラウドバンクが対象企業の経営を行うということすらありえますけど、想像したら不思議な感じも・・・(笑)

ま、自分はこれからの世の中の流れ的にそんな結末にはならないのでは。

と思ったりはしています。

 

※注意:上記は私が自分自身でこの数日調べて学んだことから考察した内容であり、真偽については保証しかねます。もっとこういった領域に詳しい方をご存じの場合はその方にお尋ねなさった方が正しい答えが出るかと思います。

 

そして、最後に自分が感じたことという部分ですが、リスクの高低については色んな見解があるかと思いますが、こういった他社より高度なスキームを活用した大型案件を組成出来るクラウドバンクの金融機関として、ファンド運営企業としての力の高さを、今回私は改めて感じました。

この案件についての良し悪しを考える中で見送りとする方はそれなりにいるかとは思いますが、この案件を組成出来る企業ということは、他の案件も高度な管理をしているのかなという気がするというか、個人的には信頼度が高まるなと今回思いました。もっともバイオマスファンドの償還とか、いくつか懸案が解消されるまでは「感じた」レベルですけども、感覚としては「さすが」という感覚は自分においては持ちました。

 

というわけで、自分なりに再度紹介してみました。

クラウドバンク

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